• アプリケーションノート

UV 検出器および QDa 検出器を搭載した ACQUITY Arc で体系的スクリーニングプロトコルを用いた、10 種の抗生物質化合物の分析法開発

UV 検出器および QDa 検出器を搭載した ACQUITY Arc で体系的スクリーニングプロトコルを用いた、10 種の抗生物質化合物の分析法開発

  • Kenneth D. Berthelette
  • Jennifer M. Nguyen
  • Jonathan E. Turner
  • Waters Corporation

要約

新しい LC 分析法および LC-MS 分析法の開発には、分析者の経験の有無にかかわらず、困難が伴う場合があります。専用のプロトコルがないと、新しい分析法を開発する際の出発点や踏むべき手順が分からない場合があります。一部の分析法開発のプロトコルには、複数の固定相、さまざまな移動相添加剤や pH 値、さらには強溶媒のスクリーニングが含まれます。分析法開発で採用するアプローチによっては、分析法開発の複雑さがさらに増すことがあります。つまり、異なる分析者が異なるアプローチを取ることで不確かさが増し、異なる結果につながる可能性があります。

今回の研究では、段階的なスクリーニングアプローチに基づく分析法開発プロトコルの利点と、10 種の抗生物質化合物を分離する方法の開発における適用について説明します。被験化合物の 1 つに UV 発色団がないため、UV 検出と MS 検出の両方が必要になります。この分析法の開発には、PDA 検出器と ACQUITY QDa 質量検出器の両方を搭載した ACQUITY Arc システムを使用しました。段階的アプローチを使用して、まず移動相 pH を試験して評価し、どの pH でより高い性能を発揮するかを判定しました。移動相 pH を確定できた後、決定した移動相と適合性のあるカラムを用いて従来法のカラムスクリーニング実験を行いました。カラムのスクリーニングでは、アセトニトリル相とメタノール相の両方を試験して、適切な分離を判定しました。LC-UV と LC-MS の両方に適した最終的な分析法が 2 営業日以内に開発でき、専用の分析法開発プロトコルの迅速さが浮き彫りになりました。

アプリケーションのメリット

  • 段階的スクリーニングプロトコルを使用して分析法開発の作業を迅速化
  • ACQUITY QDa の使用により、分析法開発時のピーク追跡において個々の標準試料の分析が不要に
  • ACQUITY QDa を直交的な検出手法として使用することで、UV 発色団を持たない化合物の検出が可能に
  • 10 種の一般的な抗生物質化合物のベースライン分離を実現

はじめに

戦略的な分析法開発プロセスにより、分析法開発作業の速度と効率を大幅に向上させることができます。分析法開発の最も一般的なアプローチは、一時一事法(OFAT)、全要素検討法(FFS)、段階的スクリーニング(TS)、および分析法のクオリティ・バイ・デザイン(AQbD)の 4 つのカテゴリーに分類できます。それぞれについて、経験豊富な分析者や、さまざまな種類のソフトウェアへのアクセスが必要かどうかなど、独自の長所と短所があります。OFAT では、経験豊富な分析者が結果を解釈し、他にどのような条件を試すべきかを判断する必要があります。このアプローチは、サンプルが特に複雑な場合や、分析者が分析法開発手法に精通していない場合には、非常に時間がかかる場合があります。FFS は、固定相、移動相 pH、移動相の強溶媒についてすべての組み合わせを試験する最も包括的なアプローチです1-2。 分離のあらゆる側面を検討するため、データの収集と解釈に時間がかかる場合があります。最近、AQbD アプローチが大きく注目されていますが、Fusion や DryLab などの特別なソフトウェアが必要です3-5。 これらのソフトウェアにはある程度のトレーニングが必要ですが、最終的な結果として頑健で優れた分析法が得られます。AQbD では、分析法開発に高度な統計的アプローチを使用することで、非常に頑健なデータが得られます。開発時に分析法の頑健性が検討され、わずかな変更によって大幅に異なる結果にならないことが確認されます。頑健な分析法を使用することで、やり直しや再バリデーションの必要性、および欠陥のある分析法になる可能性が低減します。さらに、頑健性が十分であることがすでに試験済みで、実証されている場合、分析法のバリデーションがより迅速に行えます。最後に、TS アプローチは、OFAT の速さと FFS の包括的な試験とのバランスを取ったものです6。 段階的スクリーニングでは、分析法開発作業を段階的に行い、各実験的スクリーニングの後に決定を行います。一度に 1 つの変動要因を試験してそれを「確定」し、続いてその他の変動要因を試験します。 

段階的スクリーニングアプローチの有用性を実証するため、アモキシシリン、クラブラン酸、ピペラシリン、タゾバクタム、アンピシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アジスロマイシン、およびセファレキシンの 10 種の抗生物質化合物の混合物を作製しました。これらの化合物には、米国で最も一般的に処方されている7抗生物質、並びに今後数年以内に特許切れになる 2 種の化合物(ピペラシリンとタゾバクタム)が含まれています。これらの化合物を分離するために、4 種の固定相、並びに 2 種の強溶媒と 2 種の移動相 pH 添加剤を試験しました。最終的な分析法は、試験の 2 日目に段階的スクリーニングアプローチから選択され、分離をさらに最適化する必要はありませんでした。 

実験方法

サンプルの説明

10 種の抗生物質は Sigma Aldrich から購入し、90:10 水:アセトニトリルで、アモキシシリン、セファレキシン、アンピシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ピペラシリン、タゾバクタムが 95 μg/mL、アジスロマイシンが 40 μg/mL、クラブラン酸が 200 μg/mL の濃度になるように希釈しました。

分析法条件

LC 条件

LC システム:

2998 PDA 検出器および ACQUITY QDa 質量検出器を搭載した ACQUITY Arc

検出:

UV @ 215 nm、Absorbance-MBF

抗生物質化合物の SIR

バイアル:

LCMS 認定済み透明ガラスバイアル 2 mL(製品番号:600000751CV)

カラム:

XSelect CSH C18 カラム、3.0 × 50 mm、2.5 μm(製品番号:186006105)

XSelect CSH Phenyl-Hexyl カラム、3.0 × 50 mm、2.5 μm(製品番号:186006129)

XSelect CSH Fluoro-Phenyl カラム、3.0 × 50 mm、2.5 μm(製品番号:186006117)

XSelect HSS C18 SB カラム、3.0 × 50 mm、2.5 μm(製品番号:186006165)

カラム温度:

30 ℃

サンプル温度:

10 ℃

注入量:

3 μL

流速:

0.85 mL/分

移動相 A:

0.1% ギ酸水溶液(約 pH 3)または 10 mM 水酸化アンモニウム水溶液(約 pH 10)

移動相 B:

0.1% ギ酸アセトニトリル溶液または 10 mM 水酸化アンモニウムアセトニトリル溶液

移動相 C:

0.1% ギ酸メタノール溶液または 10 mM 水酸化アンモニウムメタノール溶液

グラジエントテーブル

MS 条件

MS システム:

ACQUITY QDa 質量検出器

イオン化モード:

SIR、ESI+ モード

取り込み範囲:

m/z 175 ~ 550 m/z(図 1 で記載したように SIR を取り込み)

キャピラリー電圧:

1.5 kV

コーン電圧:

15 V

データ管理

クロマトグラフィーソフトウェア:

Empower 3 Feature Release 4

図 1.  サンプル混合物中に存在する 10 種の抗生物質の化学構造。pKa 値は ChemAxon 社製のソフトウェア、Chemicalize によって計算し、該当する化合物に最強の酸(A)および最強の塩基(B)のマークが付いています。マークが付いていない pKa は、特に明記していない限りすべて酸性 pKa です。記載した質量は、特に明記していない限り、SIR によって成分を検出するのに使用した荷電(M+H)質量です。 

結果および考察

段階的スクリーニング(TS)では、異なる「レベル」または「段階」の分析法開発実験を行います。通常、各「段階」で 1 つまたは 2 つのパラメーター(移動相 pH や固定相ケミストリーなど)を試験します。各セットの実験の後、得られた結果をもとにその後の進め方を決定する必要があります。図 2 に、今回紹介する研究で使用した段階的スクリーニングを示します。最初の「段階」では、移動相 pH を試験し、試験プローブの保持について結果を検討します。このデータから、移動相 pH をそれ以降の試験に用います。この段階的アプローチにより、アッセイに適した適用可能な条件を試験することができます。

図 2.  10 種の抗生物質化合物を分離する分析法の開発に使用した段階的スクリーニングのプロトコル 

分析法開発の最初のステップは、サンプルと分離基準を定義することです。これにより、開発における明確な終了点が決まります。分離基準の例としては、近接して溶出するピークについて一定の USP 分離度の値が得られることや、良好なピーク形状が得られることなどがありますが、これらに限定されません。抗生物質の分離に関しては、許容可能な分析法を得るには 3 つの目標を達成する必要があります。まず、すべての化合物が、一般にベースライン分離として認められる USP 分離度 > 1.5 で分離される必要があります。2 つ目に、化合物のピーク形状が良好で、ピークの対称性が可能な限り 1 に近くなる必要があります。最後に、化合物が保持される必要があります。

分離の規準が設定できたら、段階的スクリーニングの最初のステップに進むことができます。この手順は通常、迅速スカウティングと呼ばれ、低 pH および高 pH の移動相添加剤を使用してプローブの保持を評価します。このステップにおいて、高 pH でも低 pH でも保持が十分でない場合は、ミックスモードクロマトグラフィーや親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)などの別のクロマトグラフィー手法が必要になることがあります。迅速スカウティングを行うには、高 pH の移動相と低 pH の移動相の両方に適合する固定相が必要です。この例では、迅速スカウティングのために XSelect CSH C18 カラムを選択しました。このカラムには、ハイブリッド有機シリカ固定相が充塡されており、pH 1 ~ 11 で安定であるため、スカウティング実験に適しています。図 3 に、XSelect CSH C18 カラムとアセトニトリル移動相を使用した 10 種の抗生物質の迅速スカウティング実験の結果を示します。

図 3. 高 pH(上段)および低 pH(下段)の移動相添加剤を用いた XSelect CSH C18 カラム、およびアジスロマイシン(発色団を含まない化合物)の SIR を使用した、10 種の抗生物質の UV クロマトグラム。1)クラブラン酸、2)セファレキシン、3)アンピシリン、4)アモキシシリン、5)アジスロマイシン、6)オキサシリン、7)クロキサシリン、8)ジクロキサシリン、9)ピペラシリン、10)タゾバクタム。

アジスロマイシン以外のすべての化合物の分析には UV 検出を用い、発色団のないアジスロマイシンは MS 検出で評価しました。波長 215 nm でのギ酸のバックグラウンドノイズを低減するために Absorbance-MBF を使用しました。図 3 から、高 pH および低 pH の移動相添加剤の間に選択性の違いが認められます。最も顕著な差はアジスロマイシン(5)で見られ、低 pH では 3 分より前に溶出し、高 pH ではほぼ 8 分で溶出しています。アジスロマイシンは、低 pH ではアミン基が二価の電荷を持ちますが、高 pH ではアミンは荷電せず中性になるため、保持がより強くなります。アジスロマイシンは、2 つの pH 間でイオン化効率も変化します。高 pH では、アジスロマイシンはよくイオン化しますが、ピーク幅が広くなります。一方、低 pH では、シグナル強度はほぼ同じでピーク幅が狭くなります。タゾバクタムは、低 pH で部分的に荷電し、保持が良好で約 2.4 分に溶出します。高 pH では、タゾバクタムは完全に荷電するため、極性が高くなり、保持が弱くなります。同様の傾向がこれらの化合物のほとんどで見られ、高 pH では低 pH よりも保持が弱くなります。この傾向は主に化合物の荷電状態によるものですが、XSelect CSH C18 カラムのミックスモード機能も部分的に影響を及ぼしています。 

XSelect CSH C18 カラムには、部分的に正電荷を含むように設計されたハイブリッドベースの粒子を使用しています。この改良により、低 pH での塩基性化合物のピーク形状が改善し、酸性プローブとのミックスモード相互作用が得られます。低 pH では固定相の陰イオン交換基が酸性プローブの保持に役立ち、高 pH ではこの陰イオン交換基の機能が低下します。このことが、分析種の酸性または塩基性の官能基と組み合わさって、オキサシリン(6)のような化合物の保持が高 pH で低下する原因になります。低 pH では、10 種の化合物のうち 8 種が完全に分離され、保持およびピーク形状も良好に示されました。このため、抗生物質の分離には、低 pH の移動相条件を選択しました。これ以外のケースでは、アジスロマイシンの定量のように、高 pH 移動相の方が有用な場合があります。

段階的スクリーニングの次のステップでは、選択した移動相 pH を確定し、アセトニトリルの移動相とメタノールの移動相の両方を用いて、適切なカラムのパネルをスクリーニングします。図 4 と図 5 は、アセトニトリルの移動相とメタノールの移動相をそれぞれ使用して、選択した 4 種のカラムで抗生物質を分離した結果です。215 nm の UV チャンネルのみを表示していますが、アジスロマイシンの保持を成分番号(5)のマークで示しています。 

図 4.  強溶媒としてアセトニトリルを使用した 4 種の固定相での 10 種の抗生物質の分離。1)クラブラン酸、2)セファレキシン、3)アンピシリン、4)アモキシシリン、5)アジスロマイシン、6)オキサシリン、7)クロキサシリン、8)ジクロキサシリン、9)ピペラシリン、10)タゾバクタム。
図 5.  強溶媒としてメタノールを使用した 4 種の固定相での 10 種の抗生物質の分離。1)クラブラン酸、2)セファレキシン、3)アンピシリン、4)アモキシシリン、5)アジスロマイシン、6)オキサシリン、7)クロキサシリン、8)ジクロキサシリン、9)ピペラシリン、10)タゾバクタム。

これらの図から、成分 2 と 成分 3(セファレキシンとアンピシリン)の分離が困難であることが分かります。XSelect CSH Fluoro-Phenyl カラムと XSelect CSH C18 の両方で、これら 2 つの化合物を分離することができます。ただし、フルオロフェニル相ではアモキシシリンの保持が弱く、セファレキシン、アンピシリン、およびアジスロマイシンの全体的な保持が弱くなります。この保持の低下は、低 pH でのこれらのプローブの塩基性官能基、およびこれらがベースパーティクルの正電荷と相互作用することが原因となっている可能性があります。C18 相やフェニルヘキシル相ではこの現象はあまり見られません。XSelect HSS C18 SB カラムでは、セファレキシン、アンピシリン、アモキシシリンの保持が最適であり、これにより、これらの化合物の保持にベースパーティクルが重要な役割を果たしていることが分かります。アセトニトリルを強溶媒として使用すると、分析法開発の最初に設定した基準を満たすことができるのは XSelect CSH C18 カラムを使用した場合のみです。得られた最小 USP 分離度は、クリティカルペアであるセファレキシンとアンピシリンの 1.92 ですが、化合物のピーク形状と保持は良好でした。XSelect CSH Fluoro-Phenyl 相がこれに次ぐ第 2 位で、分離は良好ですが(すべてのプローブで USP 分離度が 1.5 超)、保持が良くありません。同じカラムをメタノール移動相を用いて調査すれば、アセトニトリルと比べて分離がさらに向上する可能性があります。 

メタノール移動相ではアセトニトリルの場合とは異なる結果になります。メタノールでは保持の向上が期待されますが、必ずしも選択性の違いが見られるとは限りません。ただし、XSelect CSH Phenyl-Hexyl のようなフェニルヘキシル固定相を使用すると、強溶媒としてメタノールを使用することで、独自の選択性の差異が得られます。メタノールとアセトニトリルを用いた XSelect CSH フェニルヘキシルカラムでの分離を比較すると、溶出順序が変わっていることが分かります。アセトニトリル移動相では、クラブラン酸(1)、セファレキシン(2)、アンピシリン(3)が 3、2、1 の順で溶出しています。一方、メタノールでは、溶出順序が 1、2、3 に変わっています。この選択性の変化は、化合物と固定相の間の二次的な相互作用に起因します。セファレキシンとアンピシリンの両者にフェニル環があり、メタノールを使用すると、これらがフェニルヘキシル固定相との間で π-π 相互作用が起こります。

メタノール移動相を使用すると、XSelect CSH C18 カラムと XSelect HSS C18 SB カラムではすべての化合物が保持され、分離できますが、他の 2 種のカラムを使用するとピークの共溶出が見られます。XSelect CSH C18 カラムでは、成分 10 と成分 2(タゾバクタムとセファレキシン)の USP 分離度が 1.38 でわずかに共溶出が見られますが、最適化ステップで改善できる可能性があります。XSelect HSS C18 SB では、すべての化合物が保持され、分離できますが、成分 9、6、10 のピーク形状が不良です。これらのピーク形状はブランク注入では見られず、固定相との相互作用によって引き起こされている可能性が高いと考えられます。アセトニトリルとメタノールを使用して行った分離の両方を考慮して、最終的な試験条件を選択することができます。これらの化合物については、アセトニトリル移動相を用い、低 pH で XSelect CSH C18 カラムを使用することで、最適な分離が得られます。同じカラムをメタノールで使用することもできますが、クリティカルペアをさらに分離するには最適化が必要です。アセトニトリルと XSelect CSH C18 カラムを使用すると、すべての設定基準が満たされるため、最適化する必要がありません。図 6 に、最終的な分析法条件を使用した 10 種の化合物それぞれの SIR を示しています。 

図 6.  XSelect CSH C18 3.0 × 50 mm、2.5 μm カラムで分離された 10 種の抗生物質化合物の 10 の SIR チャンネルの重ね描き。移動相は、流速 0.85 mL/分で送液されたギ酸を含む水およびアセトニトリル。グラジエント条件は、8.22 分で 5 ~ 95% アセトニトリル。1)クラブラン酸、2)セファレキシン、3)アンピシリン、4)アモキシシリン、5)アジスロマイシン、6)オキサシリン、7)クロキサシリン、8)ジクロキサシリン、9)ピペラシリン、10)タゾバクタム。

分析法開発における段階的スクリーニングアプローチでは、サンプルの包括的な試験と速さのバランスを取っています。ここでは、初日に迅速スカウティングを行ったことで、高 pH 移動相と低 pH 移動相を切り替える際に適切なカラム平衡化が得られました。次に、カラムスクリーニング実験を夜通し実行するように設定しました。最終的な分離法として、実行時間 12 分の分離法をわずか 2 日以内に開発できました。 

結論

分析法開発の体系的スクリーニングプロトコルでは、プロセスを複数の「段階」に分けます。各「段階」で一連の条件を試験し、どの条件で良い結果が得られるかを判定します。次に、これらの条件を「確定」し、それ以降の試験で使用します。この分析法開発プロトコルの有効性を実証するために、一般的に処方される 10 種の抗生物質の混合物を使用しました。この混合物は、XSelect CSH C18 カラムで、アセトニトリル移動相と低 pH 移動相添加剤であるギ酸を使用することで、良好な保持およびピーク形状でベースライン分離されました。UV 検出と MS 検出の両方を使用することで、分析法開発時にすべての化合物を追跡できました。このように開発された分析法は、分析者の判断で今後の使用に向けてバリデーションしたり、別のラボに移管したりすることができます。今回紹介した体系的なスクリーニングプロトコルのような、特化した分析法開発プロトコルを導入することで、初心者や経験の浅い分析者でも迅速かつ効果的に新しい分析法を開発することができます。   

参考文献

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720007352JA、2021 年 8 月

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