本書はアプリケーションブリーフであり、詳細な実験方法のセクションは含まれていません。
Otto SPEcialist 加圧マニホールドを用いることで、ニート溶液および生物学的マトリックスのいずれからも、ペプチド医薬品および内因性ペプチドが高い再現性で抽出できます。ペプチド抽出の再現性に関しては、熟練者が操作する手動の加圧マニホールドと同等の結果が得られました。
ペプチド医薬品および内因性ペプチドは、生物学的マトリックスからの抽出が困難であることがよく知られています。固相抽出(SPE)によるペプチド抽出は、ロード、洗浄、溶出の各ステップを慎重に制御する必要があるため、初心者にとっては特に困難になる場合があります。固相抽出処理には真空マニホールドや加圧マニホールドを使用できますが、これらの方法では、溶媒やサンプルの流速を慎重に制御する必要があります。ペプチドの抽出を成功させるには、低速で再現性のある流速が不可欠で、サンプル前処理全体にわたって流速が一貫しないと、再現性のない結果につながります。Otto SPEcialist 加圧マニホールドは、固相抽出の各ステップの圧力制御を自動化し、毎回同じ抽出条件を再現することができます。本研究では、ニート溶液および生物学的マトリックスのいずれからも高い再現性でペプチド医薬品を抽出できる Otto SPEcialist の性能を実証しています。
4 種類のペプチド医薬品(ロイプロリド、ゴセレリン、ビバリルジン、プラムリンチド)をニート溶液で調製し、Waters OASIS ペプチドセパレーションテクノロジー(PST)の固相抽出プロトコルを使用して、2 種類のイオン交換吸着剤(MAX および WCX)で抽出しました1。これらの陰イオンおよび陽イオン交換吸着剤は、ほとんどのペプチド医薬品および内因性ペプチドの固相抽出精製に適しています。ペプチドは各 50 ng/mL の混合物として調製し、リン酸を用いて酸性にしました。これらのペプチドの回収率を分析するために、固相抽出前または固相抽出後にサンプルをスパイクしました。PST 分析法開発 µElution SPE プレートをメタノールと水でコンディショニングし、酸性にしたサンプル(n=8)をロードしました。水酸化アンモニウムでサンプルを洗浄し、続いてアセトニトリル水溶液で洗浄してから、アセトニトリル、水、トリフルオロ酢酸の混合液で溶出しました。これらのペプチドの MAX および WCX の各吸着剤での回収率を図 1 に示します。表 1 に、2 つの異なる吸着剤を使用した場合のそれぞれの抽出の回収率および再現性を示します。各ペプチドについて選択した吸着剤を強調表示しています。これらの結果は、経験豊富な固相抽出ユーザーが加圧で行った以前の実験と一致しています。
Otto SPEcialist は、生物学的マトリックス中に調製したペプチドの再現性のある抽出にも役立ちます。プラムリンチドは、50 ~ 50,000 pg/mL の濃度範囲でラット血漿中に調製しました。品質管理(QC)サンプルは、検量線の全範囲にわたって抽出の再現性を分析するために、低(75 pg/mL)、中(2,500 pg/mL)、高(40,000 pg/mL)のレベル(n=6)で調製しました。以前に最適化した方法で、Otto SPEcialist と手動の加圧マニホールドの両方を使用し、WCX 固相抽出を用いてサンプルを抽出しました2。図 2 に QC サンプル抽出の精度を示します。すべての %RSD は 15% 未満で、バイオ分析法ガイドラインに十分に適合しています。Otto SPEcialist は、加圧マニホールドの %RSD 10% 未満より低い %RSD 5% 未満を達成しました。Otto SPEcialist は加圧マニホールドと同等の %RSD を達成し、場合によっては 75 pg/mL という低 QC レベルでより優れた結果が得られました。
本研究では、ペプチド医薬品の抽出に関して、手動の加圧マニホールドと同等の Otto SPEcialist 加圧マニホールドの性能が得られることを実証しています。
720007148JA、2021 年 2 月